社員10名で描いた成長の「地図」。個と組織を高める人事評価制度2026.10.01

「感覚や対話だけでは強い組織はつくれない」。会社員時代に個の戦闘力を徹底追求してきた柏村光洋氏が直面した、組織づくりの壁。その壁を突破し、人が育つ環境へ導いた人事評価制度の真意とは。制度に込めた思いと、組織の変化を伺いました。
※インタビュー内容は2026年8月末時点のものです。
※インタビュー内容は2026年8月末時点のものです。
L&C税理士事務所/株式会社Leads & Company 様
所在地東京都港区
従業員数10名超
創業2021年
URLhttps://leadsco.co.jp/
interviewee
代表パートナー税理士 柏村 光洋 氏
大手税理士法人、金融機関、海外勤務等を経て、株式会社Leads&CompanyおよびL&C税理士事務所を設立。中小企業から外資系企業や上場企業まで幅広く顧問業務を行う。また、M&Aや組織再編、IPOやコーポレート・ガバナンス体制整備、上場企業の社外監査役など、幅広い角度から企業経営に携わる。
所在地東京都港区
従業員数10名超
創業2021年
URLhttps://leadsco.co.jp/
interviewee
代表パートナー税理士 柏村 光洋 氏
大手税理士法人、金融機関、海外勤務等を経て、株式会社Leads&CompanyおよびL&C税理士事務所を設立。中小企業から外資系企業や上場企業まで幅広く顧問業務を行う。また、M&Aや組織再編、IPOやコーポレート・ガバナンス体制整備、上場企業の社外監査役など、幅広い角度から企業経営に携わる。
「自分が強くなればいい」。誰よりも働き続けた会社員時代
ー柏村先生は、大手税理士法人から五大商社、メガバンク、海外勤務と、幅広いキャリアを経験されています。当時はどのようなことを考えて仕事をしていたのでしょうか。
一貫していたのは、「個としての戦闘力を高めたい」ということ。
大学4年の2月に税理士を志してから、「税理士になりたい」というより、税理士という専門性を使って大きな仕事ができる人間になりたいと思っていました。だから最初に就職するときも、できるだけ厳しい環境に身を置きたかったため、大手税理士法人のM&Aチームへ逆オファーを送って入社しました。その後も総合商社、金融、海外と、意識的に違う環境へ移ってきました。
「その環境のなかで、得られるものはすべて得る」と、誰よりも働き、とにかく経験値を積む。組織のなかでどう立ち振る舞うかより、自分自身のマーケットバリューを上げることに必死でしたね。
ーその考え方は、独立して経営者になって変わりましたか。
劇的に変わったというよりも、視座がより高くなりました。もちろん、今でも最後は「個」だと思っています。どれだけ会社が良い環境を用意しても、そこで頑張れるかどうかは本人次第です。だから、一人ひとりの戦闘力を高めることは、今もすごく大切にしています。ただ、経営者になって「戦闘力の高い人材が育つ環境づくり」へ、視点がひとつ上の次元に引き上げられました。20年後、30年後に環境や時代が変わったとき、「この人と仕事がしたい」「この人に相談したい」と言ってもらえる人材を生み出していきたいと思っています。
税務の知識だけなら、今は調べる方法はいくらでもありますし、AIもあります。でも、経営者の悩みは人やオペレーション、資金繰りがほとんどで、僕たちが求められているのは、知識そのものだけではありません。「この人に相談しておけば大丈夫」と感じる「安心感」だと思うんです。だから、話し方や立ち振る舞い、レスポンス、相手の状況を理解する力などを含めて対応する。
僕自身、肩書きには価値を置いていませんし、「税理士の集団」にしたいわけでもありません。一流の人材が集まる「財務系コンサルティングファーム」にしたいと思っているんです。
一貫していたのは、「個としての戦闘力を高めたい」ということ。
大学4年の2月に税理士を志してから、「税理士になりたい」というより、税理士という専門性を使って大きな仕事ができる人間になりたいと思っていました。だから最初に就職するときも、できるだけ厳しい環境に身を置きたかったため、大手税理士法人のM&Aチームへ逆オファーを送って入社しました。その後も総合商社、金融、海外と、意識的に違う環境へ移ってきました。
「その環境のなかで、得られるものはすべて得る」と、誰よりも働き、とにかく経験値を積む。組織のなかでどう立ち振る舞うかより、自分自身のマーケットバリューを上げることに必死でしたね。
ーその考え方は、独立して経営者になって変わりましたか。
劇的に変わったというよりも、視座がより高くなりました。もちろん、今でも最後は「個」だと思っています。どれだけ会社が良い環境を用意しても、そこで頑張れるかどうかは本人次第です。だから、一人ひとりの戦闘力を高めることは、今もすごく大切にしています。ただ、経営者になって「戦闘力の高い人材が育つ環境づくり」へ、視点がひとつ上の次元に引き上げられました。20年後、30年後に環境や時代が変わったとき、「この人と仕事がしたい」「この人に相談したい」と言ってもらえる人材を生み出していきたいと思っています。
税務の知識だけなら、今は調べる方法はいくらでもありますし、AIもあります。でも、経営者の悩みは人やオペレーション、資金繰りがほとんどで、僕たちが求められているのは、知識そのものだけではありません。「この人に相談しておけば大丈夫」と感じる「安心感」だと思うんです。だから、話し方や立ち振る舞い、レスポンス、相手の状況を理解する力などを含めて対応する。
僕自身、肩書きには価値を置いていませんし、「税理士の集団」にしたいわけでもありません。一流の人材が集まる「財務系コンサルティングファーム」にしたいと思っているんです。
採りたい人が採れない現実。「若手を育てる」という選択
ー現在は20代を中心とした若い組織になっていますが、もともと若手中心の事務所にしようと考えていたのでしょうか。
今は僕を含めて10数名のメンバーが在籍していて、正社員は20代が中心です。でも、最初から「若い人だけ採ろう」と決めていたわけではありません。採用活動をしてみて分かったのは、経験のある30代の人材を採るのは、非常に難しいということでした。税理士事務所で経験を積んだ人が事業会社へ行くケースも増えていますし、大手税理士法人も中途経験者層を求めています。給与だけで比較されたら、大手事務所に勝つことは簡単ではありません。だったら、採れない人を追い続けるよりも、「ポテンシャルのある人を採って、自分たちで育てたほうが早い」と考えるようになりました。
ー採用では、どのようなことを重視していますか。
一番はカルチャーフィットです。もちろん、一定の能力は必要です。ただ、それと同じくらい、その人が今いるメンバーと一緒に働けるかどうかを見ています。分かりやすく言えば、人柄です。仕事が終わったら完全に別々というよりは、オフでは友達に近い関係にもなれるような人かどうか。もし組織のカルチャーから大きく外れる人が一人でも入ると、一緒に働く現場メンバーが苦労してしまいますから。
僕自身が目指しているのも、「個が強ければそれでいい」という組織ではありません。一人ひとりが強くなって、その強い「個」が周囲を引き上げていける組織です。たとえば、一人ひとりの力が1から2になったとき、3人いるから単純に6になるのではなく、互いに影響し合って8や10になる。そういう組織が理想です。だからこそ、採用だけではなく、入ってきた人をどう育てていくかが、徐々に大きなテーマになっていきました。
今は僕を含めて10数名のメンバーが在籍していて、正社員は20代が中心です。でも、最初から「若い人だけ採ろう」と決めていたわけではありません。採用活動をしてみて分かったのは、経験のある30代の人材を採るのは、非常に難しいということでした。税理士事務所で経験を積んだ人が事業会社へ行くケースも増えていますし、大手税理士法人も中途経験者層を求めています。給与だけで比較されたら、大手事務所に勝つことは簡単ではありません。だったら、採れない人を追い続けるよりも、「ポテンシャルのある人を採って、自分たちで育てたほうが早い」と考えるようになりました。
ー採用では、どのようなことを重視していますか。
一番はカルチャーフィットです。もちろん、一定の能力は必要です。ただ、それと同じくらい、その人が今いるメンバーと一緒に働けるかどうかを見ています。分かりやすく言えば、人柄です。仕事が終わったら完全に別々というよりは、オフでは友達に近い関係にもなれるような人かどうか。もし組織のカルチャーから大きく外れる人が一人でも入ると、一緒に働く現場メンバーが苦労してしまいますから。
僕自身が目指しているのも、「個が強ければそれでいい」という組織ではありません。一人ひとりが強くなって、その強い「個」が周囲を引き上げていける組織です。たとえば、一人ひとりの力が1から2になったとき、3人いるから単純に6になるのではなく、互いに影響し合って8や10になる。そういう組織が理想です。だからこそ、採用だけではなく、入ってきた人をどう育てていくかが、徐々に大きなテーマになっていきました。

見えない地図を対話で補う。それでもうまく「伝わらない」壁
ー2021年に開業されてから、人材育成にどのように取り組んできたのでしょうか。
最初の頃は、とにかく対話をしていました。人数も少なかったので、一人ひとりを見ながら、「この仕事を任せよう」「次はマネジメントを経験してもらおう」と考えて、役割を決めていました。知識や実務能力だけでなく、その人に今何が必要かを考えて、かなり細かくコミュニケーションをとっていたと思います。
でも、今振り返ると、僕がたくさん話していたのは、「対話を大事にしていたから」だけではなかったんです。僕の頭のなかには、「この人にはこうなってほしい」「この先はこういうキャリアがある」というイメージがあった。でも、それを本人が見られる形にできていなかった。つまり、僕の頭のなかにしかロードマップがなかったから、会話で補うしかなかったんです。
ー人数が少ないうちは、それでも十分に機能するようにも思えます。
ある程度までは機能すると思います。僕も実際、それでやってきました。ただ、人が増えると難しくなります。 開業1年目は、まず売上をつくらなければならなかった。2年目頃から人を採用するようになって、3年目、4年目頃になると組織のなかでいろいろなことが起きるようになりました。
誰がどこまで判断するのかがあいまいで、ちょっとしたことでも僕に質問が来る。仕事を任せたつもりでも、本人は「そこまで自分の仕事だと思っていなかった」ということもある。結果として進みが遅くなれば、僕が巻き取る。そうすると、人を採用しているのに、いつまでたっても僕がボトルネックになるんです。
さらに、フルリモートで働くメンバーもいます。顔を合わせていれば、表情や仕事の様子を見ながら伝えられることもありますが、リモートではそうはいきません。「僕はこういう意味で伝えた」けど、「本人はこう受け取った」というズレも生まれてしまいます。
思うように伝わらない状態に陥ったことで、「話せば分かる「」僕が見ていれば大丈夫」というやり方には限界があると思うようになったのです。
ーそこで、人事評価制度が必要だと考えたわけですね。
制度という指標の必要性を痛感しました。僕は「組織は人」だと思っています。そして、「人は弱い」とも思っています。これはメンバーが弱いという意味ではありません。僕自身もそうです。パワフルだと思われがちですが、遊びたいし、寝ていたいし、今だったらサーフィンにも行きたい(笑)。人はいつでも強くいられるわけではありません。だからこそ、「どこに向かうか」を示す明確な指針が必要なのです。
組織も同じだと思います。何を期待されているのか、どのようなスキルや経験が必要なのか、それが分かる地図があれば、迷ったときに戻ることができる。逆に、その地図が所長の頭のなかにしかなければ、スタッフは常に所長の顔色や判断を伺わなければいけません。
人事評価制度という地図は、人が増えてからつくるのではなく、これから人を増やすために、今つくっておかなければいけない。そう考えたのが、2025年のタイミングでした。
最初の頃は、とにかく対話をしていました。人数も少なかったので、一人ひとりを見ながら、「この仕事を任せよう」「次はマネジメントを経験してもらおう」と考えて、役割を決めていました。知識や実務能力だけでなく、その人に今何が必要かを考えて、かなり細かくコミュニケーションをとっていたと思います。
でも、今振り返ると、僕がたくさん話していたのは、「対話を大事にしていたから」だけではなかったんです。僕の頭のなかには、「この人にはこうなってほしい」「この先はこういうキャリアがある」というイメージがあった。でも、それを本人が見られる形にできていなかった。つまり、僕の頭のなかにしかロードマップがなかったから、会話で補うしかなかったんです。
ー人数が少ないうちは、それでも十分に機能するようにも思えます。
ある程度までは機能すると思います。僕も実際、それでやってきました。ただ、人が増えると難しくなります。 開業1年目は、まず売上をつくらなければならなかった。2年目頃から人を採用するようになって、3年目、4年目頃になると組織のなかでいろいろなことが起きるようになりました。
誰がどこまで判断するのかがあいまいで、ちょっとしたことでも僕に質問が来る。仕事を任せたつもりでも、本人は「そこまで自分の仕事だと思っていなかった」ということもある。結果として進みが遅くなれば、僕が巻き取る。そうすると、人を採用しているのに、いつまでたっても僕がボトルネックになるんです。
さらに、フルリモートで働くメンバーもいます。顔を合わせていれば、表情や仕事の様子を見ながら伝えられることもありますが、リモートではそうはいきません。「僕はこういう意味で伝えた」けど、「本人はこう受け取った」というズレも生まれてしまいます。
思うように伝わらない状態に陥ったことで、「話せば分かる「」僕が見ていれば大丈夫」というやり方には限界があると思うようになったのです。
ーそこで、人事評価制度が必要だと考えたわけですね。
制度という指標の必要性を痛感しました。僕は「組織は人」だと思っています。そして、「人は弱い」とも思っています。これはメンバーが弱いという意味ではありません。僕自身もそうです。パワフルだと思われがちですが、遊びたいし、寝ていたいし、今だったらサーフィンにも行きたい(笑)。人はいつでも強くいられるわけではありません。だからこそ、「どこに向かうか」を示す明確な指針が必要なのです。
組織も同じだと思います。何を期待されているのか、どのようなスキルや経験が必要なのか、それが分かる地図があれば、迷ったときに戻ることができる。逆に、その地図が所長の頭のなかにしかなければ、スタッフは常に所長の顔色や判断を伺わなければいけません。
人事評価制度という地図は、人が増えてからつくるのではなく、これから人を増やすために、今つくっておかなければいけない。そう考えたのが、2025年のタイミングでした。

点数をつける制度ではない。「どう生きたいか」を考える地図
ー人事評価制度を設計するうえで、給与の基準を明確にすることも重視されていました。なぜでしょうか?
たとえば、「今年は頑張ったから1万円上げよう」「この人ならこのくらいかな」と決めたとします。でも、スタッフ側からすれば、基準が何か分かりません。給与決定の根拠や昇給基準、3年後、5年後の収入の目安が明示されていなければ、不安で仕方ないと思うんです。
僕は、不安要素はパフォーマンスにネガティブに働くと思っています。だったら、できるだけ不安をなくしてあげたい。「このレベルならこのポジションになる」「このポジションならこの給与になる」。それを可視化することで、何を頑張ればいいのか分かるようになれば、パフォーマンスもおのずと上がっていくはずです。
ー制度を「私生活」にまでつなげて考えているのが柏村先生らしいですね。
僕は、仕事をすること自体が人生の目的ではなくて、その人が思い描く生活を送り、やりたいことを実現するための手段だと考えています。
実際、あるメンバーと5年後の目標を考えたとき、最初は「特にありません」と言っていたんです。それでも根気強く話していくうちに「タワーマンションに住みたい」という話が出てきました。そこで、住みたいエリアを絞り、家賃相場を検索していくと、必要な手取り額、弊所の賃金テーブルではどこまで行けばいいかまで明確になりました。
そうやって逆算していくと、「5年後にここまで行けば実現できる」という具体的な目標を定められるし、「今年の目標」「達成するための行動計画」まで落とし込めます。
僕にとって人事評価制度は、人に点数をつけるためではありません。その人が「どんな人生を送りたいのか」を考えて、そこまでの道筋が見えるようにするための地図だと思っています。
たとえば、「今年は頑張ったから1万円上げよう」「この人ならこのくらいかな」と決めたとします。でも、スタッフ側からすれば、基準が何か分かりません。給与決定の根拠や昇給基準、3年後、5年後の収入の目安が明示されていなければ、不安で仕方ないと思うんです。
僕は、不安要素はパフォーマンスにネガティブに働くと思っています。だったら、できるだけ不安をなくしてあげたい。「このレベルならこのポジションになる」「このポジションならこの給与になる」。それを可視化することで、何を頑張ればいいのか分かるようになれば、パフォーマンスもおのずと上がっていくはずです。
ー制度を「私生活」にまでつなげて考えているのが柏村先生らしいですね。
僕は、仕事をすること自体が人生の目的ではなくて、その人が思い描く生活を送り、やりたいことを実現するための手段だと考えています。
実際、あるメンバーと5年後の目標を考えたとき、最初は「特にありません」と言っていたんです。それでも根気強く話していくうちに「タワーマンションに住みたい」という話が出てきました。そこで、住みたいエリアを絞り、家賃相場を検索していくと、必要な手取り額、弊所の賃金テーブルではどこまで行けばいいかまで明確になりました。
そうやって逆算していくと、「5年後にここまで行けば実現できる」という具体的な目標を定められるし、「今年の目標」「達成するための行動計画」まで落とし込めます。
僕にとって人事評価制度は、人に点数をつけるためではありません。その人が「どんな人生を送りたいのか」を考えて、そこまでの道筋が見えるようにするための地図だと思っています。

「20代で年収1,000万円」。ただし個の成果だけを追わせない
ー制度を構築するとき、絶対に譲れなかったポイントはありますか。
大きく二つあります。一つは、将来の給与まで見える賃金テーブルです。「20代で年収1,000万円に届く」という設計は、僕自身がこだわった部分です。新卒入社の未経験のメンバーが頑張れば、30歳までに1,000万円に手が届く。ただ、1,000万円という数字自体が目的ではありません。「ここまで成長すれば、ここまで行ける」という未来を見せることが重要だと考えたうえでの覚悟です。
そして、もう一つは、評価を定量・定性のどちらか一方に寄せなかったことです。数字で評価する部分はもちろん必要です。一方で、数字だけを追わせる制度にすると、個人最適になってしまいます。
ー「個の戦闘力」を重視するのであれば、成果を中心に評価するという考え方もあります。
「個」だけを追っていては、理想とする組織にはなれません。たとえば、本人の売上だけを評価する制度にしたとします。そうすると、後輩に仕事を教えるより、自分で案件を進めたほうが効率的です。自分の数字だけを考えれば、後輩を育てないほうが得になるかもしれない。
でも、僕は後輩も育ててほしいし、周りのメンバーも引き上げてほしい。繰り返しになりますが「個」を強くしながら、「組織」も強くしたいわけです。それなのに、評価制度が「自分の数字だけを追ってください」というメッセージを出していたら、経営者が求めていることと矛盾してしまいます。だから、成果を見る定量評価と、育成や組織への貢献を見る定性評価の両方を備えた制度が必要でした。
ー人事評価制度をアックスコンサルティングに依頼した理由を教えてください。
制度を入れること自体は、以前から決めていました。ただ、僕自身、大企業で評価指標に基づいて給与が決まる環境にいたものの、どのような制度なら10人規模の税理士事務所で機能するのか未知数でした。大企業の評価制度をそのまま持ってきても、おそらくフィットしない。だから、いろいろな事例を見たり、話を聞いたりしていました。
そんななかでアックスさんにお願いしようと思った一番の理由は、伴走してくれる「安心感」です。僕が言ったことをそのまま資料にするのではなく、一緒に考えてくれる。さらには、僕自身もまだ整理できていない潜在的な考えを引き出して、リードしてくれる。そんな担当者の姿勢が大きかったですね。
ー実際に制度構築のプロジェクトが始まってからの支援はいかがでしたか。
よい意味で、想像とのギャップはありました。僕自身、決して優秀なお客さんではありませんでした(笑)。
資料を送ってもらっても、本業があるので、どうしても片手間で見ることになる。アックスさんから質問をもらっても、アックスさんが10知りたいところに対して、僕は3くらいしか答えていないこともあったと思いますが、それでも理解してくれました。また、「これをやってほしい」と僕が明確に言わなくても、必要だと思ったことを先回りしてやってくれる。そこはすごく助かりました。
人事評価制度を内製しようとすると、経営者も相当な時間を使わなければいけません。でも、人事評価制度だけを考えているわけにはいかない。お客様のことも、売上も、採用も、日々いろいろあります。そのなかで、少ない情報から意図をくみ取って形にしてもらえたことは大きかったです。
僕が大切にしている「個を強くしたい」という考えと、「でも個人最適にはしたくない」という、一見すると矛盾する部分も含めて制度に落とし込んでもらいました。 経営者の考えは、頭のなかではつながっていても、言葉にすると意外と整理できていないものだと思います。それを対話しながら整理して、メンバーに伝わる形に落とし込んでいく。そのプロセスにも意味があったと思っています。
大きく二つあります。一つは、将来の給与まで見える賃金テーブルです。「20代で年収1,000万円に届く」という設計は、僕自身がこだわった部分です。新卒入社の未経験のメンバーが頑張れば、30歳までに1,000万円に手が届く。ただ、1,000万円という数字自体が目的ではありません。「ここまで成長すれば、ここまで行ける」という未来を見せることが重要だと考えたうえでの覚悟です。
そして、もう一つは、評価を定量・定性のどちらか一方に寄せなかったことです。数字で評価する部分はもちろん必要です。一方で、数字だけを追わせる制度にすると、個人最適になってしまいます。
ー「個の戦闘力」を重視するのであれば、成果を中心に評価するという考え方もあります。
「個」だけを追っていては、理想とする組織にはなれません。たとえば、本人の売上だけを評価する制度にしたとします。そうすると、後輩に仕事を教えるより、自分で案件を進めたほうが効率的です。自分の数字だけを考えれば、後輩を育てないほうが得になるかもしれない。
でも、僕は後輩も育ててほしいし、周りのメンバーも引き上げてほしい。繰り返しになりますが「個」を強くしながら、「組織」も強くしたいわけです。それなのに、評価制度が「自分の数字だけを追ってください」というメッセージを出していたら、経営者が求めていることと矛盾してしまいます。だから、成果を見る定量評価と、育成や組織への貢献を見る定性評価の両方を備えた制度が必要でした。
ー人事評価制度をアックスコンサルティングに依頼した理由を教えてください。
制度を入れること自体は、以前から決めていました。ただ、僕自身、大企業で評価指標に基づいて給与が決まる環境にいたものの、どのような制度なら10人規模の税理士事務所で機能するのか未知数でした。大企業の評価制度をそのまま持ってきても、おそらくフィットしない。だから、いろいろな事例を見たり、話を聞いたりしていました。
そんななかでアックスさんにお願いしようと思った一番の理由は、伴走してくれる「安心感」です。僕が言ったことをそのまま資料にするのではなく、一緒に考えてくれる。さらには、僕自身もまだ整理できていない潜在的な考えを引き出して、リードしてくれる。そんな担当者の姿勢が大きかったですね。
ー実際に制度構築のプロジェクトが始まってからの支援はいかがでしたか。
よい意味で、想像とのギャップはありました。僕自身、決して優秀なお客さんではありませんでした(笑)。
資料を送ってもらっても、本業があるので、どうしても片手間で見ることになる。アックスさんから質問をもらっても、アックスさんが10知りたいところに対して、僕は3くらいしか答えていないこともあったと思いますが、それでも理解してくれました。また、「これをやってほしい」と僕が明確に言わなくても、必要だと思ったことを先回りしてやってくれる。そこはすごく助かりました。
人事評価制度を内製しようとすると、経営者も相当な時間を使わなければいけません。でも、人事評価制度だけを考えているわけにはいかない。お客様のことも、売上も、採用も、日々いろいろあります。そのなかで、少ない情報から意図をくみ取って形にしてもらえたことは大きかったです。
僕が大切にしている「個を強くしたい」という考えと、「でも個人最適にはしたくない」という、一見すると矛盾する部分も含めて制度に落とし込んでもらいました。 経営者の考えは、頭のなかではつながっていても、言葉にすると意外と整理できていないものだと思います。それを対話しながら整理して、メンバーに伝わる形に落とし込んでいく。そのプロセスにも意味があったと思っています。

役割の明確化で自発的に行動。「個々の集まり」から真の組織へ
ー実際に制度を運用してみて、どのような変化を感じていますか。
一番大きな変化は、メンバーそれぞれの役割が明確になったことです。以前は、僕自身も「これは誰の仕事なのか」があいまいな部分がありました。仕事を頼んでも進んでいないと、「本人がやらなかったのか」「そもそも自分の仕事だと思っていなかったのか」、僕にも分からなかった。だから結局、巻き取ってしまう。今は、「ここまでは自分の仕事」と全員が理解できるようになり、僕のタスクがかなり減りました。
実際にメンバーの一人が、「自分はアルバイトを束ねる役割を担うべきだ」と考えて、自発的に動くようになりました。以前なら、細かな質問も全部僕に来ていました。しかし今は、そのメンバーが受け止めて、必要なことだけ僕に報告してくれる。ようやく「縦の組織」ができ始めたという感覚がありますね。
ー制度をつくったことで、柏村先生自身にも変化はありましたか。
想定以上に良い変化をもたらしたのが、面談です。少しずつ人が増えていったことで定期的に面談を実施していましたが、内容のほとんどは業務の話でした。僕自身は、人を大切にしたいと思っていたし、そのメンバーの人生も考えてあげたいと思っていた。でも、それを話すための材料がなかったんです。
人事評価制度があることで、現在地から目標地点までに何をすべきか、達成したときの給与はいくらか、という話ができます。そこから、「じゃあ、その収入で何をしたい?」という生活の話まで踏み込めるようになりました。制度をつくったことで、僕自身もメンバーの未来を具体的に見るようになったんです。これは最初から狙っていたことではありませんでしたが、すごくよかったと思っています。
一番大きな変化は、メンバーそれぞれの役割が明確になったことです。以前は、僕自身も「これは誰の仕事なのか」があいまいな部分がありました。仕事を頼んでも進んでいないと、「本人がやらなかったのか」「そもそも自分の仕事だと思っていなかったのか」、僕にも分からなかった。だから結局、巻き取ってしまう。今は、「ここまでは自分の仕事」と全員が理解できるようになり、僕のタスクがかなり減りました。
実際にメンバーの一人が、「自分はアルバイトを束ねる役割を担うべきだ」と考えて、自発的に動くようになりました。以前なら、細かな質問も全部僕に来ていました。しかし今は、そのメンバーが受け止めて、必要なことだけ僕に報告してくれる。ようやく「縦の組織」ができ始めたという感覚がありますね。
ー制度をつくったことで、柏村先生自身にも変化はありましたか。
想定以上に良い変化をもたらしたのが、面談です。少しずつ人が増えていったことで定期的に面談を実施していましたが、内容のほとんどは業務の話でした。僕自身は、人を大切にしたいと思っていたし、そのメンバーの人生も考えてあげたいと思っていた。でも、それを話すための材料がなかったんです。
人事評価制度があることで、現在地から目標地点までに何をすべきか、達成したときの給与はいくらか、という話ができます。そこから、「じゃあ、その収入で何をしたい?」という生活の話まで踏み込めるようになりました。制度をつくったことで、僕自身もメンバーの未来を具体的に見るようになったんです。これは最初から狙っていたことではありませんでしたが、すごくよかったと思っています。

30人、50人になっても「個が育つ事務所」であるために
ーここから、さらにどのような組織にしていきたいと考えていますか。
将来的には30~50名くらいの組織にしていきたいと思っています。この規模感というのも、全員の顔と名前を把握できるギリギリの人数という感覚です。
実は、僕自身のように、30代で何の後ろ盾もないなかで一人で独立して、そこから人を雇いながら組織を大きくしていくという、僕と同じような事務所で、「5年後にはここを目指したい」と思える明確なモデルケースを見つけられていません。この先の答えはまだ模索中です。でも、だからこそ面白いとも思っています。今のメンバーが成長すれば、これからマネージャーになる人も出てくるでしょう。そうなれば、自分が成果を出すだけではなく、部下の育成やチームマネジメントという、今までとは違う評価も必要になります。
評価制度も、一度完成したら終わりではありません。組織が変われば、制度も変える必要がある。
ーその先で、今回つくった評価制度にはどのような役割を期待していますか。
自分自身が「何を求められているのか」を知るためのものとして使っているメンバーが多いと思います。実際、僕が思っていた以上に、みんな評価基準やハンドブックを見ています。何なら僕より見ているくらいです(笑)。
でも、これから人が増えていくにつれて、その使い道も一段階進むはずです。今のメンバーが後輩を指導する立場になったとき、後輩が「何を求められているか」を学ぶための教科書として、この基準を渡して導いていく。
すると、「僕はこう思う」ではなく、「うちの事務所では、次のポジションに行くにはこれが求められているよ」と、同じ基準を使って話せるようになる。そうなれば、代表である僕が一人ひとりに全部説明し続けなくても、人が人を育てられるようになります。
会社員だった頃の僕は、自分自身を強くすることばかり考えていました。でも、今は違います。自分がいなくても、強い人が育つ。そして、育った人が次の人を育てる。そのような組織をつくりたい。そのために人事評価制度は、誰かに点数をつけるための「ものさし」ではなく、みんなが同じ方向へ進むための「地図」であってほしい。今はまだ、その地図をつくったばかりです。これから人が増え、役割が増え、組織が変わったとき、この地図がどこまで機能するのか。僕自身も、それを楽しみにしています。
将来的には30~50名くらいの組織にしていきたいと思っています。この規模感というのも、全員の顔と名前を把握できるギリギリの人数という感覚です。
実は、僕自身のように、30代で何の後ろ盾もないなかで一人で独立して、そこから人を雇いながら組織を大きくしていくという、僕と同じような事務所で、「5年後にはここを目指したい」と思える明確なモデルケースを見つけられていません。この先の答えはまだ模索中です。でも、だからこそ面白いとも思っています。今のメンバーが成長すれば、これからマネージャーになる人も出てくるでしょう。そうなれば、自分が成果を出すだけではなく、部下の育成やチームマネジメントという、今までとは違う評価も必要になります。
評価制度も、一度完成したら終わりではありません。組織が変われば、制度も変える必要がある。
ーその先で、今回つくった評価制度にはどのような役割を期待していますか。
自分自身が「何を求められているのか」を知るためのものとして使っているメンバーが多いと思います。実際、僕が思っていた以上に、みんな評価基準やハンドブックを見ています。何なら僕より見ているくらいです(笑)。
でも、これから人が増えていくにつれて、その使い道も一段階進むはずです。今のメンバーが後輩を指導する立場になったとき、後輩が「何を求められているか」を学ぶための教科書として、この基準を渡して導いていく。
すると、「僕はこう思う」ではなく、「うちの事務所では、次のポジションに行くにはこれが求められているよ」と、同じ基準を使って話せるようになる。そうなれば、代表である僕が一人ひとりに全部説明し続けなくても、人が人を育てられるようになります。
会社員だった頃の僕は、自分自身を強くすることばかり考えていました。でも、今は違います。自分がいなくても、強い人が育つ。そして、育った人が次の人を育てる。そのような組織をつくりたい。そのために人事評価制度は、誰かに点数をつけるための「ものさし」ではなく、みんなが同じ方向へ進むための「地図」であってほしい。今はまだ、その地図をつくったばかりです。これから人が増え、役割が増え、組織が変わったとき、この地図がどこまで機能するのか。僕自身も、それを楽しみにしています。
コンサルタントVOICE

未来を見据え、想いを形にした制度設計を実現
「30名規模の組織」というビジョンから逆算し、管理職と専門職の双方が評価される多様なキャリアパスを構築しました。また、「税務にとどまらない価値提供」という想いを反映させて、同規模の事務所と比較して高水準の報酬を設定するなど、柏村先生が従業員の方へ提供したい理想の環境を制度に落とし込みました。制度設計でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
HRコンサルタント 尾崎翔一
「30名規模の組織」というビジョンから逆算し、管理職と専門職の双方が評価される多様なキャリアパスを構築しました。また、「税務にとどまらない価値提供」という想いを反映させて、同規模の事務所と比較して高水準の報酬を設定するなど、柏村先生が従業員の方へ提供したい理想の環境を制度に落とし込みました。制度設計でお困りの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
HRコンサルタント 尾崎翔一
▼インタビュー動画はこちら



