M&A事業
M&Aコンサルタントして、日々多くの経営者と仕事をされているお二人にM&Aビジネスの立ち上げ時のお話とやりがいについてお話を聞いていきたいと思います。
お客様との信頼関係が最も重要。想像力と創造力を活かすM&A事業
専門的な知識や経験はもちろん、親身に寄り添ってくれる相談先として求められている
――お二人の現在の業務内容について教えてください
前田 浩輝
前田「私はシニアマネージャーとして、士業事務所や一般企業のM&Aを支援するコンサルティングチームの事業運営と戦略づくりに取り組んでいます」
原「上長である前田さんのもと、M&Aコンサルタントとして、セミナーなどのマーケティング企画からお問い合わせへの対応、訪問、契約まで、一連の業務すべてをこなしています」
――現在の業務でお客様にどのような価値を提供しているのでしょうか
前田「M&Aはほとんどのお客様が初めて経験することになります。これまで直面することがなかった重要な局面で、さまざまな決定をしていかなくてはなりません。だからこそ、コンサルタントとしてお客様に寄り添って、一番の相談役になることが重要だと考えています」
原「近年、M&Aの需要は非常に高まっています。もともとACCSでは士業事務所同士のM&Aサポートを行っていましたが、需要の高まりに合わせて2017年に全国M&A支援協会を立上げ一般事業会社向けのM&Aサポートも手掛けるようになりました。日本の後継者問題はかなり深刻で、従業員や取引先のことを考えて悩んでいる経営者の方は増えています。一方で事業を引き継ぐことで大きなチャンスを得る会社もあるので、双方をつなぐM&Aという仕事はお客様に喜びを与えられる仕事だと思っています」
――お客様が抱える課題や求められるサポートについて、最近の傾向はどのようなものですか?
原 壮宏
前田「根本的な課題として、『相談先や進め方がわからない』という方が多いですね。特にM&Aの場合は、1つとして同じものはありません。だからこそ、『経験値があって、いろんな方法を知っているプロに、最適な提案をしてほしい』と考えている人がたくさんいらっしゃいます」
原「後継者がいないことで従業員や取引先がどうなるのかなど、会社の未来を危惧されている方が多いと思います。また、M&Aによる事業拡大を検討している場合はどういった戦略を取るべきかで迷われています。しかし、自分たちでM&Aの相手を見極めるのは難しいもの。そこで私たちが条件を整理し、理想的な相手を見つけて、提案、条件の交渉をしていきます。M&Aは簡単にやり直しがきかないことなので、お客様のニーズ、目的をしっかりとくみ取って進めることが求められます」
想像力と創造力、両方を活かして企業の真のパートナーになること
――専門的な部門ですが、会社(ACCS)からはどういったことを期待されていますか
前田「士業事務所は企業の経営者たちの相談役であり、ACCSはその士業事務所の先生方を支援しています。だからこそ、企業から頼られ、パートナーとして必要とされる存在になっていかなければならないと思っています。私たちの役割はお客様の課題を解決することです。そのうえで最大利益をあげることが、会社から求められている最大の役目です」
――業務の内容も多岐にわたると思いますが、必要となるスキルはどういうものですか?また、新たに身に付いたスキルなどはありますか
前田「必ず必要になるのはヒアリング力です。そしてニーズを深堀する力。抱えている課題がわからないと具体的な提案はできません。そして、お客様から信頼してもらうためには経験も必要。だからこそACCSは、どの部署も年齢や経歴を問わず、さまざまな経験ができる機会が用意されています。新たに身に付いた、というか強化された能力は課題解決力ですかね。常にお客様にとって何が最善なのかを考え、それを達成するために行動し続けていくうちに自然と身に付きました」
原「M&Aは売り主と買い主をWin-Winにすることが大切なので、お客様目線で物事を考えて、満足感が高まる伝え方をしていくようにしています、さらに、成立して終わりではなく、その後の関わりも重要になるので、双方に満足してもらう調整力は身に付いたと思います」
前田「たしかに。何もないところからストーリーを思い描いて、ゴールを設定し、満足してもらう。双方の利益を実現するためにはイマジネーションとクリエイティビティの両方が必要。想像力と創造力も身に付きます」
事業継続という社会的意義もあるM&A。売り主・買い主からも感謝される
――現在の業務のなかで大変だったことはありますか。また、それを乗り越えるためにどんなことに取り組みましたか
前田「大変だったことは『M&A』という戦略に対する価値観を変えることですね。今でこそメリットが評価されつつあるM&Aですが、以前は『身売り』『買収』というような印象が強く、それを変えていくのは大変でした。メリットを理解する前に拒否反応が出てしまうんですよね」
原「ACCSはもともと士業コンサルで、M&Aのイメージはなかったと思います。ただニーズはあったので、ACCSらしいサポートとはどういうものかを具現化するのが大変でした。マーケティング活動もゼロからのスタートでしたね」
前田「そんなマイナスイメージを払拭するにあたって、セミナーやDMで積極的に啓蒙活動を行いました。また、具体的な事例を元にお話しすることも意識していました。ご自身の悩みをイメージしてもらいやすくすることで、これまでのイメージから、悩みを解決するための手段として見てもらえるようにしていったのです」
原「M&Aには正解がないからこそ、お客様が知りたいのは『自分の場合はどういうことができるのか』という選択肢の部分です。だからこそ、メルマガなどでもリアリティのある内容を意識していましたね」
――これまでの経験で、印象的だったことなどはありますか
前田「リタイヤ後に経営者の方にお会いして、ご不安が解消されてお元気になった顔を見られることがとても嬉しいですね!」
原「そうですね。あとは最後に『ありがとう』と言われることが何より嬉しいです。順調に経営が拡大しているという話を聞いたり、『社会的にも意義があるからがんばって』という言葉をいただいたりすると、それまでの苦労も報われます」
前田「引き継ぎした方、引き受けた方、関わった多くの方から感謝されるのがM&Aのやりがいです。士業はもちろん、多様な業種のお客様と関われるのもこの仕事の魅力。これからも信頼感を大切に、もっとM&Aを広めていきたいと考えています」